発達障害とメディア

自閉症はテレビが原因?

最近、小児科に行くと
「3歳までのテレビ・ビデオの視聴は控えましょう」
というポスターが貼ってあります。

小児科医たちが子供の発達とメディアの影響について注意をうながすようになりました。
発達が気になる子供たちではなくてもテレビやゲームに1日の大半を使っている子供たちは世の中に沢山いるのです。

最近では過剰なメディア漬けの子どもたちが起こす事件が世間を騒がせることも少なくありません。
ちょっと前は、
「自閉症の原因はテレビの見過ぎやゲームのしすぎ」
と言われていたこともありました。

トモが「自閉症」と診断された当時は
朝と夕方2時間くらい教育テレビを見せていました。
夕食の準備など忙しいときにテレビを見せているとおとなしく過ごしてくれたので、
母親としては助かっていたのです。

ほかの子どもたちと比べても同じくらいの時間だったので
「なぜうちの子だけが自閉症なの?」と疑問に思っていました。

療育センターの主治医の先生からは
「テレビの見過ぎで自閉症になることはない。
ただし、自閉症を含む発達障害児たちは、
目からの情報を取りこみやすい。
熱中してみてしまうのでコントロールが必要だ」
と言われました。

テレビは見せてもいいのか。
見せてはいけないのか。
本当のところはよくわかりません
専門家によっても意見がわかれていますし、結果がでるのはしばらくかかりそうです。

我が家のテレビが壊れちゃった!?

我が家のテレビが壊れた-というのは嘘ですが、
正式にはテレビのコンセントを抜いて「壊れた」ことにしていました。

それ以来3年半の間、我が家はテレビとは無縁の生活になりました。

なぜ、テレビを止めたかと言うと、トモの言葉の相談に行った時に
「テレビをやめて、ラジカセで童謡を聞かせてください。
目からの刺激を遮断して耳から情報を得るように訓練しましょう」

と訓練の先生に言われたからです。
今もそうですがトモは視覚からの情報に強かったです。

  • 地図記号
  • お店のロゴ(お店のマークなど)
  • バスの行き先番号や行き先表示
発達に障害がある子供たちの特徴として
『カメラで撮影するように映像で記録する』
ということがあります。

テレビという手段は、目からの情報だらけです。
目からの情報に集中するあまり、
音声は「付属品」として耳から素通りしていたのかもしれません。

聞き取れないと言葉として「話す」ことはできないのですから、
「目からの情報を遮断して耳で聞く訓練をしなさい」
という先生の説明もわかるような気がしました。

・・・とはいえ、テレビを止めるのには勇気がいりました。

先生から言われた時は正直とまどいました。

あるとき決心してテレビのコンセントを抜きました。
そしてトモに「テレビ壊れちゃったよ」。
そう告げました。
トモは1日泣いてました。

トモが3歳になったばかりの頃のはなしです。
それから我が家のテレビなしの生活がスタートしました。

でも、子供は切り替えが早いです。
次の日にはけろっとして普段通りの生活になりました。
ただし、ひとり遊びができないので、ずうっと母親にべったりとなります。
午前中は外遊びで元気いっぱいに遊んだ後、昼寝の時間に食事の支度。
とても忙しい時代でした。

そのうち、新しい童謡のCDを買い足したり、
ラジオでテレビの音声を聞くようにするうち、
我が家ではテレビがなくても平気になりました。

テレビなし生活の結果

小学生になった今は普通に会話ができますが、
テレビを消したから言葉がでるようになったのか?
それはわかりません。

でも、耳から情報を拾うというスキルは身に付いたと思います。
大好きな野球の中継をラジオで聞けるようになりましたから。

今現在「文章を読むのが苦手」という 学習障害の兆候が現れはじめています。
でも、 私が文章を読んであげると内容は理解できるようです。
これは幼児期に「耳で聴く」という生活をしていたおかげだと思います。

テレビ解禁

トモが幼稚園を卒園する頃、我が家は引っ越しをしました。

そこで、困ったことが起きました。
鉄筋コンクリートでできたマンションはラジオの電波が入らないのです。
今までラジオで拾っていたテレビの音声は「ザーッと」いう音に変わってしまい
仕方なくテレビを解禁することにしました。
今は時計代わりに使っています。

この番組が終わったらお風呂、
この番組が終わったら学校に行くetc.
そんな風に。

解禁したからといって、だらだら見ては今までの意味がなくなります。
上手にテレビと付き合っていこうと思います。

野球好きのトモは、野球中継が見たいのでその日は宿題もお風呂もさっさと済ませます。
そういうご褒美にも我が家のテレビは役立っています。

メディアとの上手な付き合い方

突然今から「テレビを止めましょう」
というのもなかなか難しいと思います。

我が家は「言葉が出ない」という切羽詰まった状況だったので
勇気を出してテレビを消しました。

もし、思い切ってテレビを止めるなら、年齢が小さいうちがお勧めです。
だんだん知恵がついてきて、コンセントを抜くだけではバレてしまうでしょう。

  • だらだらと見ない
  • 見る時間を区切る
  • 頑張ったごほうびに好きな番組を見る
など、上手にテレビと付き合えるといいですね。

Benesseのサイトでテレビについての上手な付き合い方のサイトがありました。
参考にして下さいね。
・『小さな子どもとメディア~親と子のメディア研究会』
http://www.benesse.co.jp/jisedaiken/media/message/index.shtml

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